NECモバイリング40年史
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9●否応なしの自立、しかし“武器”は身についていた 当社はNECが納入した無線装置を設置する協力会社として実績を積み重ね、システムソリューション事業部にとっては、それが当たり前のことだった。ところが2009年度からNECの通信事業者向け無線装置設置業務がなくなることが決まった。このことは何を意味したか。会社が生き残っていくためには、仕事をNEC以外から受注しなければならなくなったのだ。 「それまではNECとの対応だけすればよかったので営業は必要ありませんでした。しかしこれからは自分たちで仕事を取りに行かねばなりません。初めて営業部を作り、すぐに活動を始めました。」 それまで経験のなかった営業を手探りで始めた。そうしたなかで、海外の通信機器メーカーから、基地局の工事・試験や局データの作成業務を受注した。それまでNEC製の無線装置を採用していた通信事業者は、今後当該メーカー製品へ交換しなくてはならない。それにはNEC製機器の知識を持つエンジニアが必要だった。そこで、その知識と経験を持ち、それに見合った技術力を持つ当社に白羽の矢が立った。 「私たちにはNEC傘下で培った技術の積み重ねと実績がありました。エンジニアリング力、とくに無線系の技術に大きな力を持っていました。それが評価を得たのです。」広がる業務領域。対応は柔軟に、コアの技術を極める プロジェクト単位に移動を繰り返していた事業拠点をエンジニアリングセンターとして常設し、責任者の顔を外から見えるようにしたのも営業展開を視野に入れてのことだった。通信事業各社から受託する個宅訪問の事業も全国への展開が続いている。個人のお客さまのご自宅まで出張し、受信状態を調査して最適な改善策を実施する。 「お客さまのお求めになる水準はどんどん高くなっています。“電話がつながらない”だけではなく、“データの伝送が遅い”ことにも対応する知識と技術が必要ですし、接客態度にも高い水準が求められています。」 求められる技術も様変わりした。かつて基地局は大規模な設備の更新が当たり前だったが、現在はソフトウェアの更新で済んでしまうようになった。 「業務量としては減っているのですが、サービス系や家電など仕事の領域は拡大しています。そうなるとコアをなす技術が時代にマッチしているかが重要になってきます。」 これからのシステムソリューション事業部には変化に対応できる柔軟さを持った人材が求められる。もちろん、技術を極めていく姿勢には揺るぎはない。爆発的に増える通信データ、それらをさばく知恵と腕がある アナログ携帯電話からデジタルへ。そして3GからLTEへと通信データ量は爆発的に増大した。“つながる”から“速度”を求める時代となった。 「エリアを広げることは簡単です。問題はトラフィックの増加をどうさばいていくのか。それをケースごとにコンサルティングして、自分たちの技術を応用して、いかに解決するかを提案していきます。」 ある通信事業者からは東京23区内におけるエリアの最適化を依頼され、その設計の半分を担当している。渋谷、新宿、東京駅など人も通信も輻輳するエリアもある。この技術で競合できる同業他社は多くない。 「経験とノウハウがモノをいう仕事です。アンテナ方向の微調整や無線制御装置・基地局装置のパラメータモバイルソリューション事業本部システムソリューション事業部“NECモバイリングに任せれば大丈夫”顧客の信頼は高い品質を生む技術から最適化、細かいトラフィックの予測、場合によっては『ここに基地局を新設しましょう』と提案することもあります。」 設計だけにとどまらず工事もできることは大きな強みだ。 「私たちは技術を品質という形でお客さまに提供し、信頼という対価をいただいています。“NECモバイリングに任せれば大丈夫”と、今後もそう言われ続けなければなりません。」■特集 この10年で築いた強みで、未来を拓く現地調査試験月俣 俊博エリア試験松浦 賢一

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